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骨盤まわりの痛みに、
圧迫はどこまで有効なのか。

仙腸関節や恥骨結合のまわりの痛み・不安定感は「骨盤帯痛」と呼ばれます。妊娠中・産後に多いとされますが、それ以外の時期にも起こります。骨盤を外から締めて支えるという方法は昔から使われてきましたが、研究で何がどこまで分かっているのかは、あまり整理されていません。整形外科専門医が、肯定的な結果も否定的な結果も省かずにまとめました。

骨盤のうしろ(お尻の上あたり)に手を添えて立つ女性のイラスト。スパッツ型サポーターを着用している
※イラストはイメージです

本品は医療機器ではありません。このページは骨盤帯痛という症状についての一般的な情報であり、特定の製品の効果を示すものではありません。痛みが続く場合は医師にご相談ください。

このページは、産後に限らない骨盤帯痛(仙腸関節・恥骨結合まわりの痛み)について、研究で分かっていることをまとめた解説ページです。
産後の骨盤まわりが気になって来られた方は、産後の使い方・始める時期の目安・サイズの選び方までまとめた 産後・骨盤まわりのページ のほうが分かりやすいと思います。

先に結論から。 骨盤を圧迫して支えると、仙腸関節のゆるみは力学的に小さくなり、その場の動作のつらさは下がるという報告があります。 一方で、痛みが減るかどうかを複数の研究でまとめると、統計学的に有意な差は出ていません(確実性は low〜very low)。 「その場で動きやすい」ことと「痛みが治る」ことは別の話だ、というのが現時点で言えることです。

BASICS骨盤帯痛とは

腰痛とひとくくりにされがちですが、痛む場所も仕組みも違います。

仙腸関節(後ろ)

骨盤の後ろ、お尻の上のあたりにある関節です。ほとんど動かない関節ですが、ここに負担がかかると、お尻の奥や足の付け根に痛みとして出ることがあります。

恥骨結合(前)

骨盤の前側で左右の骨がつながっている部分です。歩きはじめや寝返り、階段で痛むことがあります。

骨盤帯痛という呼び方

この2か所のまわりに出る痛みや不安定感をまとめて骨盤帯痛(pelvic girdle pain)と呼びます。妊娠中・産後に多いとされますが、それ以外の時期にも起こります。

ASLR という検査があります。 あおむけで、ひざを伸ばしたまま片脚を持ち上げる動作を ASLR(active straight leg raise) といいます。 骨盤帯痛があると、この動作が「重い」「つらい」と感じられることが知られていて、骨盤まわりを支えられているかどうかの目安として研究で使われています。 下で紹介する研究にも、この指標が出てきます。

WHEREどこに圧がかかるのか

骨盤を外から支えるという考え方では、うしろの仙腸関節と前の恥骨結合の両方を含めて囲むことが想定されています。下の図は、その範囲のイメージです。

骨盤の模式図。うしろの仙腸関節と前の恥骨結合を含むように、骨盤をぐるりと囲む帯状の圧の範囲を青で示している
※イラストはイメージです。圧のかかり方を分かりやすく示した模式図で、実際の圧の数値や範囲を正確に表したものではありません。

EVIDENCE圧迫で支えることについて、研究で分かっていること

以下はいずれも骨盤ベルトを用いた研究であり、本製品を用いた研究ではありません。骨盤まわりを外から圧迫するという考え方の背景として紹介します。

① 力学:ベルトで仙腸関節のゆるみは小さくなる

骨盤ベルトを装着すると、仙腸関節のゆるみ(laxity)が低下したと報告されています。ベルトを高い位置に巻いたほうが、低い位置より低下が大きかったとされています。

Damen L, Spoor CW, Snijders CJ, Stam HJ. Does a pelvic belt influence sacroiliac joint laxity? Clin Biomech. 2002;17(7):495–498. PMID 12206939 / doi:10.1016/s0268-0033(02)00045-1
限界:健常な若年女性が対象で、測ったのは力学の指標だけです。症状が良くなったかを見た研究ではありません。

② 動作:装着した直後は、脚を上げる動作が楽になる

妊娠に関連した骨盤帯痛のある63名を対象とした前向き観察研究では、仙腸関節ベルトを装着した直後の ASLR スコアが 2.70 点低下しました(p<0.001)。4週間後には痛みが約 0.94 点下がり、82% の方が「良くなった」と回答しています。

ただし、この研究で最も大事なのはここです。装着直後にASLRが良くなったかどうかは、4週間後の痛みを予測しませんでした。その場で楽に感じることと、しばらく経って痛みが減ることは、同じではないということです。

Fitzgerald CM, Bennis S, Marcotte ML, Shannon MB, Iqbal S, Adams WH. PM&R. 2022;14(1):19–29. PMID 33745213 / doi:10.1002/pmrj.12591
限界:無作為化されておらず、比較の対照群もありません。妊娠中の方のみが対象です。

③ 全体をまとめると:痛みについては有意差が出ていない

2025年に、骨盤ベルトに関する7つの研究をまとめたメタ解析が報告されました。結果は次のとおりです。

アウトカム統合した効果95%信頼区間解釈
痛み−20.17−40.73 〜 0.40 をまたぐ=有意差なし
障害(生活のしづらさ)−4.65−16.57 〜 7.260 をまたぐ=有意差なし

著者らはエビデンスの確実性を「low から very low」と評価し、「臨床的な推奨を出すにはさらなる研究が必要」と結論しています。

Lauridsen J, Dalbøge A, Jahn A. The effect of pelvic belts to manage low back and pelvic pain during pregnancy — a systematic review and meta-analysis. Midwifery. 2025;148:104529. PMID 40716213 / doi:10.1016/j.midw.2025.104529

いえること

  • 圧迫すると仙腸関節のゆるみは力学的に小さくなる
  • 装着した直後は脚を上げる動作の負担感が下がる
  • 重い有害事象の報告はなく、試してみること自体のリスクは小さい

いえないこと

  • 痛みが減るとは、まとめた研究では言えていない
  • その場の動きやすさが先々の改善につながるとは言えない
  • これらはベルトの研究で、本製品を調べたものではない
  • 骨盤帯痛が治る・予防できるという話ではない

PRODUCTそのうえで、本品がどういうものか

効果をうたうためではなく、何が違うのかを事実として書きます。

1

点ではなく全周で圧がかかる

骨盤の後ろ(仙腸関節)と前(恥骨結合)の両方を含めて、ぐるりと面で圧がかかる構造です。ベルトのように1本の線で締めるのとは圧のかかり方が違います。

2

位置がずれない

巻くタイプは、座ったりかがんだりすると位置が動きます。スパッツ型は履いた位置のまま動くので、巻き直しが要りません。上の研究で「高い位置のほうがゆるみの低下が大きかった」とされていることからも、位置が動かないことは意味を持ちます。

3

医療機器ではなく衣料品

本品は医療機器ではありません。治療の代わりになるものではなく、動くときに使う道具としてお考えください。

もともとは股関節の手術後のために作られたものです。 人工股関節の手術を受けた方を対象にした研究は実施していて、その結果は 研究データのページ に全アウトカムを載せています。 骨盤帯痛を対象とした研究は行っていません。

CAUTIONサポーターで様子を見ないほうがよい場合

次のような場合は、着けて様子を見るのではなく受診してください。

  • じっとしていても痛む
  • 夜間に痛みで目が覚める
  • 発熱をともなう
  • 足のしびれ・力が入りにくい
  • 排尿・排便の感覚がおかしい
  • 転んだあとから痛みが出た

妊娠中・産後の方は、産婦人科の医師や助産師にご相談のうえでお使いください。すでにベルトの指導を受けている場合は、そちらの指示を優先してください。

FAQよくあるご質問

骨盤帯痛とは何ですか?

骨盤の後ろにある仙腸関節や、前にある恥骨結合のまわりに出る痛み・不安定感をまとめてそう呼びます。妊娠中・産後に多いとされますが、それ以外の時期にも起こります。腰椎そのものが原因の腰痛とは区別して考えられています。

骨盤ベルトやサポーターには、痛みを減らす効果が証明されていますか?

証明されているとは言えません。2025年に7研究をまとめたメタ解析では、痛みの変化が −20.17(95%信頼区間 −40.73〜0.4)、障害の変化が −4.65(−16.57〜7.26)で、いずれも信頼区間が0をまたいでおり有意ではありませんでした。著者らは確実性を low〜very low と評価しています。

それでも圧迫で支える考え方には根拠があるのですか?

力学的な測定では、ベルトで仙腸関節のゆるみが低下したという報告があります(Damen 2002)。妊娠中の骨盤帯痛のある63名の研究では、装着直後のASLRが2.70点下がりました(Fitzgerald 2022)。ただし同じ研究で、その直後の変化は4週間後の痛みを予測しませんでした。

トータルHipサポーターは骨盤帯痛のための製品ですか?

いいえ。本品は医療機器ではなく衣料品です。もともと股関節の手術後のために開発されたもので、骨盤帯痛を対象とした研究は行っていません。このページで紹介した研究は、いずれも本製品を用いたものではありません。

ベルトと併用してもよいですか?

基本的にはどちらか一方をおすすめします。すでに医師や助産師からベルトの指導を受けている場合は、そちらの指示を優先してください。

一日中着けていたほうがよいですか?

活動する時間を中心とした着用がメーカーにより推奨されています。就寝時は外してください。

動く時間を、少しでも楽に

男女兼用 M〜4L。サイズに迷ったら1〜2サイズ上を。

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